ウォークマンを片手に歩く長い田んぼ道
今週のお題「傘」
傘…と聞いて思い出すのは、とある記憶。
みなさんは、雨が降っている日になぜか聞きたくなる。そんなお気に入りの曲はありますか?
曲や歌というのは不思議なものでそれ自体も素晴らしいのですが、その曲を聞いていた頃の記憶が思い出されること…ありませんか?
ふとした瞬間に耳にした曲が「あ…これ、学生の頃に片思いしてた人と聞いていた曲だ。」なんてロマンチックなこととか。
わたしも高校生の時には駅から家まで歩いて帰っていたのですが、一番好きだったのは雨の日に大きな傘をさしてウォークマンで曲を聴きながら帰る…。そんな平凡な日常。
住んでいたのは田舎でした。水溜まりを避けながら歩く長い田んぼ道。しっとりと地に落ちる雨の音。イヤフォンから流れる、こんな雨の日だからこそ心に染みるお気に入りの曲。
現代風に言うならば、あの瞬間はとてもエモかった。
これといった部活もなにもしていなかったわたしが「ああ、青春だったなあ」と感じさせるワンシーン。もうあの青春には戻れないんだなと思うと、少しセンチメンタルな気持ちになった。
もし現在、若者である方がこの記事を読んでいたらぜひ実行してほしいことがある。
それは「大切な思い出とその時に聞いていた曲」をぜひスマホのすみっこにでもメモしてみてほしい。いつか貴方が30代になった時にそのリストをもとに思い出の曲を聴く時がくる。
「そうだ。あの時は切ない恋愛をしたな。」
「この曲のおかげで、頑張ることができたんだったな。」
青春はもう戻ってこないけれども、あの瞬間を思い出の曲とともに振り返ることはできる。
わたしにとってそれが、傘をさして歩いた長い田んぼ道だった。
そして家に帰ると、「おかえりなさい。」と毎日笑顔で待ってくれている優しい母親の姿。あの日々に戻りたいなと思うけれども、わたしはまた明日に向かって生きてゆく。